2019年12月9日と10日に広州で開催された世界弁護士大会(世界律师大会/Global Lawyers Forum)、前回ご紹介した初日の状況の報告に続いて、2日目についての報告です。
2日目は、前日の「リーガルテック」とは方向性が全く異なる「公益活動」の分科会に参加しました。各国の弁護士による自国における公益活動の取組状況の発表を聞いていて、考えさせられることが少なくありませんでした。
私は普段、企業向けのコンプライアンスセミナー等で「会社(という組織)を通じた社会貢献」という趣旨の話をしています。所謂CSRやCSVといった概念に通じる話です。一方、自分自身のことについては、自分と社会が直接繋がっている、言い換えれば自分自身が直接的な社会の一部として存在しているようなイメージを持っていました。あくまで弁護士は、最終的には一個人としての信頼と能力を元に仕事をする独立した立場であるべきだと考えています。
しかし、よく考えてみると、それとは別に「法律事務所を通じた社会貢献」という視点で取り組むことができることも確かに沢山あります。法律事務所という器を通じて社会に対して働きかけることで、一個人としてよりも大きな影響力を与えることができる・・・そんなことを考えながら発表を聞いていると、イギリスの女性弁護士が以下のような発言をしていて思わず膝を打ちました。
「マイクロソフト(Microsoft)社は様々なシステムを開発して、世界に影響を及ぼしています。でも、私たち弁護士はマイクロソフト社で勤務しなくても、世界に対して良い働きかけを行うことができます。なぜなら、私たちが所属している法律事務所というものは、様々な社会問題への窓口だからです。」
いろいろな意味で刺激と示唆に満ちた二日間でした。ここで見聞きし考えたことを日本で行動に移していこうという決意とともに大会会場を後にし、帰途につきました。