WOWOWで11月17日から放送が始まった連続ドラマ「蝶の力学 殺人分析班」の法律監修を担当しています。台湾ドラマ「リーガル・サービス」と同時進行で、本作の法律監修も行っていたのでした。
どんなドラマか?
原作は、麻見和史さんのミステリ小説「殺人分析班」シリーズの第三弾です。東京都内で発生する猟奇殺人事件の犯人と、その謎を解く殺人分析班こと警視庁捜査一課十一係との息詰まる攻防を描いています。主人公・如月塔子役の木村文乃さん、同僚である鷹野刑事役の青木崇高さんをはじめ、実力派の役者さんたちがキャストに名を連ねています。
東京都内で、遺体の首に青い花が活けられる連続猟奇殺人事件が発生します。事件の捜査に乗り出す塔子ですが、頼れる先輩である鷹野が異動によってチームを離れることになって不安を抱える中、捜査にも行き詰まり・・・というストーリーです。
続きは是非、本編をお楽しみください!
法律監修の仕事とは
私はもともと、毎月映画館に新作映画を見に行っている映像作品の愛好者です。最近は、国内外の映画やドラマの法律監修のご依頼を多数受けるようになり、視聴者ではなく制作側の立場から映像制作に関与する機会が増えてきました。映像作品好きの弁護士にとって、これほど趣味と実益を兼ねた仕事はありません!
法律監修の主な仕事は、何と言っても台本のチェックです。ストーリーや設定に法律的に不自然な点は無いかどうか、また、法律解釈が問題となる点についてどのように考えればよいのかを検討して、場合によっては修正案を提示します。台本を書いた脚本家さんや、プロデューサーさんから個別の質問をいただくこともあります。自分が専門としている以外の分野、既存の知識では対応できない問題、未知の問題について問い合わせを受けることもり、そのような場合には、法令、裁判例、文献等を調査して、ちょっとした調査報告書のような形で回答することもあります。
特に連続ドラマの場合、登場人物の人間関係やできごとの前後関係が複雑に入り組んでいることがあるので、法律監修を行う前提として、作品のプロット自体を良く理解しておく必要があります。また、時代設定が過去の場合は、現行法ではなくその時点での法律を基準に判断しなければなりません。地味ではありますが、法律家としての専門性だけでなく作品に対する理解力も要求される、なかなかやりがいのある仕事です。
法律監修の立場から見た本作
本作「蝶の力学 殺人分析班」については、まだ台本すらできていない企画・構想段階から関与させていただきました。原作小説を読み込んでプロデューサーさんと議論し、できあがった台本に全て目を通して法律面での疑問や問題点について意見交換するというプロセスを何度も繰り返しました。撮影現場にもお邪魔して出演者と制作スタッフの皆様の仕事振りを拝見し、仕事に対する執念とも言うべきこだわりぶりを目の当たりにして圧倒されました。
ネタバレになってしまうので内容についてはあまり触れることができないのですが、制作に関わっているという贔屓目を差し引いても、見ごたえのある素晴らしい作品に仕上がっています。是非ご覧いただければと思います!