• 「伝統を守るために挑戦し続けます」(後編)
    司牡丹酒造株式会社
    代表取締役 竹村昭彦氏

    弁護士山口智寛が時代をリードするリーダーたちに突撃インタビューを敢行するシリーズ。前回に引き続き、「船中八策」や「司牡丹」などの名酒を生み出している高知県の司牡丹酒造株式会社の代表・竹村昭彦氏にインタビューをお送りします!

    ファンを獲得するために取り組んでいること

    山口:商品の魅力を伝えることについてどのような工夫をしていますか。

    いろいろやっていますが、一つ特徴的な取り組みをご紹介すると、日本名門酒会という全国の1700店あまりの地酒専門店の組織があって、そこの会報誌に、10年程前から2カ月に1回、ニュースレターを封入させてもらっています。タイトルは「司牡丹時報」ですが、読み方は「モダン・タイムス」に引っ掛けて、司牡丹だから「ボタンタイムス」(笑)。レイアウトは編集のプロにまかせていますが、文章は一言一句自分で書いています。

    実は、酒を買って飲んでくれるのは消費者なんだからと、それ以前には司牡丹ファンの消費者に向けたニュースレターだけをやっていました。今でも続けていて、これはこれで役に立ってくれています。ところが、ある時「酒屋さんも司牡丹の酒を買ってくれてるお客さんなんだから、そこに向けて情報発信したら良いじゃないの」ということを指摘されて、ハッとしたのです。私は、酒屋さんは一緒に酒を売る仲間だと認識していて、一緒に消費者を開拓していくにはどうしたら良いかみたいなことを考えていました。でも、考えてみると、酒屋さんは大量にお酒を買ってくれるお客さんなのですね。それで、酒屋さん向けの情報発信をやり出しました。B to Cへの情報発信一辺倒の状態を脱して、B to Bへの情報発信にも取り組むようになったということですね。

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    山口:ニュースレターではどのような情報を発信しているのですか。また、どのような効果があるのでしょうか。

    ボタンタイムスでは、単純に自分のところの商品の情報を載せるのではなくて、酒屋さんが売上を上げるためのノウハウ等、読み手にとって役立つような情報も併せて提供しています。そういう情報を発信していると、読者の酒屋さんから、商品についての感想だけでなく、「記事に書いてあったことを実践したら売上が上がりました」という報告をいただくことがあります。これを紙面で写真付きで事例紹介をする。そうすると、それについてまた「この間のネタ良かったね」とか「うちでもこんなことやったよ」とか反響を貰える。

    要するに、広告費かけてネットやテレビで広告するだけでは獲得できないようなコアなファンがじわじわと出てきてくれるのです。ファンになってくれた酒屋さんは、うちの商品を買ってくれるだけでなく、「やっぱりこのネタなら司牡丹の竹村社長に伝えないと」と新しい情報や面白い話を教えてくれたりもします。そこから新しいビジネスが生まれることもあります。

    こういうことは、一朝一夕でできることではなく、ある程度腰を据えてやらないと駄目です。でも、粘り強くやってくると、絶対に反応してくれる人が出てくれます。これが自分の自信に繋がり、継続できる要因となる。そうすると、またそれに反応してくれる人が出てきてくれる。好循環が生まれます。ボタンタイムスの場合、日本名門酒会に加入している1700軒全員が読んでくれているとは毛頭思っていませんが、1割でも読んでくれれば、こういうことが起きるのです。もう10年も続けているので、例えば新商品を出した場合に、どのような紹介の仕方をすればどれくらい反響があってどれくらい売れるのかというようなことも大体わかるようになってきました。

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