• 契約書の記載事項とチェックポイント

    契約書の作成には厳格な決まりがあるわけではありませんが、ビジネス上のルールとしては、次のような構成で作成するのが一般的です。

    表題(タイトル)
    印紙
    前文
    本文(約定事項)
    後文
    契約書作成年月日
    契約当事者の住所・氏名・押印

    1 表題

    以前の記事でも触れたとおり、「契約書」という名前ではなくても、当事者間の合意が記載してあれば、その実態は契約書であるということになります。すなわち、表題には特別の効力はなく、あくまでも記載内容でその書面の効力が定まるということです。

    もっとも、表題を見て契約書の内容がわかるようになっていることは重要ですので、不動産賃貸借であれば「不動産賃貸借契約書」、物品の売買であれば「売買契約書」というように、契約の内容を端的に表現する表題を付けるようにしましょう。逆に、相手方から契約書案を受け取ってそれを検討する場合は、表題にとらわれずに内容を精査するようにしてください。

    2 印紙

    契約書は、全てというわけではありませんが、種類によっては200円から60万円までの印紙税が課せられ、収入印紙を貼付し、消印(印紙の上から押す印)をしなければなりません。印紙の貼付、消印がない場合には、過怠税を徴収される場合があります(印紙だけ貼って消印がない場合もペナルティの対象になります)。

    収入印紙を貼らなければならない文書の詳細は、国税庁作成の印紙税額一覧表(平成27年4月)に記載されています。代表的なものは次の4種類ですので、これらにあたるかを確認しておけば足りるでしょう。

    ・1号:不動産売買契約書、土地賃貸借契約書、金銭借用証書
    ・2号:請負に関する契約書(工事請負契約書、工事注文請書など)
    ・7号:継続的取引の基本となる契約書(売買取引基本契約書、特約店売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書など)
    ・17号:売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(領収書、借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書など)

    印紙の貼付や消印の有無は、正しく納税しているかどうかという側面の問題であり、契約書の有効性自体とは無関係です。すなわち、印紙の貼付や消印が無い契約書も中身は有効で、記載内容どおりの効力があります。

    3 前文

    通常、契約書の冒頭部分(表題のすぐ次の部分)では、「当事者Aと当事者Bは次のとおり◯◯について合意する」というような断り書きを記載します。前文が無くても契約書の効力には影響はありませんが、表題と同様に契約書の概要を表す意味を持ちますので、記載しておくことが望ましいです。前文では次の2点に言及します。

    ・契約当事者:誰と誰が契約するのか
    ・契約の趣旨や目的:どのような内容の契約か

    4 本文

    契約書の本文(第◯条として各条項を記載する部分)では、その契約の具体的な内容を記載します。契約というのは、当事者間の合意により各当事者の具体的な権利義務を定めるものですので、契約書の本文ではそのような権利義務の内容を一つ一つ明確化していくことが必要になります。契約の類型や具体的な事案に応じて、各条項が想定している場面をイメージしながら、内容を組み立てていきます。

    各条項の記載内容が不明確だとその内容をめぐって争いが生じる原因にもなり兼ねないので、「わかりやすい内容にすること」が非常に重要です。次のような点に配慮して記載すると良いでしょう。

    ・わかりやすい用語を用いる(通称や業界用語は用いない)。
    ・どういう状況になると(要件)誰にどのような権利義務が生じるのか(効果)という二段構造で記述する。
    ・1つの文章で記載する内容は1つに絞り、できるだけ短い文章で作成する。
    ・時系列や取引の流れに沿って記述する。
    ・関連する内容はまとめて配列する。
    ・まず原則的なことを記述し、その次に例外的なことを記述する。
    ・各条項間で矛盾が生じないようにする。
    ・対象事項を詳細に記載する必要がある場合には、別紙を作成する(ただし、別紙も契約書の一部であることを忘れないように)。

    5 後文

    契約書本文終了後の後文には、通常「以上の通り契約が成立した証として、本書2通を作成し、甲乙それぞれ記名捺印のうえ各1通を保有する 」という記載します。前文と同様、契約書の効力に影響を及ぼすものではありませんが、契約書の作成部数や誰が原本を所持しているのかを明らかにして契約書の偽造を防ぐために記載します。

    6 契約書作成日

    同じような趣旨の契約書が何度も作成されている場合など、契約書の作成日付がいつかということが重要な意味を持つことは少なくありません。そこで、契約書においては必ず「○年○月○日」と作成日付を記します。

    契約書の作成日付は必ずしも契約の効力発生日と一致している必要はありませんが、この点についての混乱を回避するため、契約書作成日付と効力発生日が一致しているのかどうかを契約書本文で明記しておきましょう。一致させる場合には「この契約書作成の日から効力を生じる」とし、一致しない場合は「◯年◯月◯日から効力を生じる」と記載します。

    7 契約当事者の住所・氏名・押印

    その契約書が真実当事者によって作成されたものであることを示すために、住所、当事者名(個人名または法人名)を署名(自分で手書きすること)、または記名(印字やスタンプなど署名以外の方法で記すこと)し、さらに捺印をします。

    法人の場合は、商業登記簿の記載と同様の住所、名称を正確に記載します。個人の場合は、住民票上の住所と実際の居所が異なるという場合もありますが、その場合はいずれかを記載すれば足ります。氏名は本名であることが望ましいですが、当人が日常生活において通称を用いており、かつ、その通称を用いて契約書を作成することに意味がある場合(典型的には芸能人が業務上の契約を交わす場合)には、「◯◯(通称を記載)こと▲▲(本名を記載)」と記載すると良いでしょう。

    捺印する印鑑は、実印でも認印でも効力は変わりません。ただし、不動産売買契約や遺産分割協議書など、印鑑証明書により本人の押印であることを裏付ける必要がある場合には、実印で押印します。

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