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    台湾留学体験記その5
    台湾大学

    なんとか準備を整えて台湾に渡り、いよいよ留学生活を開始しました。まずは中国語のレベルを引き上げるべく、台湾大学の留学生向け中国語班に通学しました。

    台湾大学は、日本統治時代に帝国大学の一つとして設立された大学です。キャンパスは台北市内の中心部にあり、広大な敷地の中に、図書館、食堂、コンビニ、病院、体育館、プール、運動場、さらには農場などもあり、さながら一つの街のような様相です。

    とりわけ留学生にとってありがたいのは、図書館と食堂が充実していることです。図書館は、日本語の書籍も含めて資料が豊富に揃っており、学生用の自習室は24時間開放されています。ゲームや私語に夢中になっているような学生は皆無で、皆、黙々と自分の学習に打ち込んでいます。キャンパス内にはファストフード店やカフェなどもありますが、何と言っても、安くてそこそこ美味しい(人によって意見が異なりますが・・・)学生食堂が重宝しました

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    キャンパス内の軽食屋台

    中国語クラスは日本人の割合が全体の2割くらいで、他の大学に比べても国際色が豊かなことが特徴です。日本の他には韓国、香港、欧米はもちろん、アフリカや中南米からも留学生が来ています。特に奨学金で留学に来ている学生は、学業面で際立っていることは言うまでもなく、人間的な魅力にも溢れている人が多かったです。世界中の優秀な人たちと切磋琢磨できるというのは、台湾大学で勉強する一つの大きなメリットと言えるでしょう。

    授業は1日3時間で、朝、昼、夜のコマの中から一つを選ぶことができます。レベル別に初級、中級、上級とわかれていて、各級の中でさらに4〜5段階程度のレベルが設定されており、開講前のテストの結果に応じて、各生徒のレベルに応じたクラスに割当てられます。私は中級のちょうど真ん中あたり、中国語をゼロから始めた留学生が半年間勉強したくらいのクラスに入りました。私の日本での数年間の独学は台湾ではわずか半年分なのだと思うと、なかなか複雑な気分でした。

    私のクラスは生徒が全部で6人で、私以外に日本人が二人(男性一人、女性一人)、あとはドイツ人男性、イギリス人男性、カナダ人男性が一人ずつという構成でした。私以外は全員20代で、結婚しているのも職に就いているのも私だけでした。私はこのようにやや特殊な立場にあり、かつ、職業が弁護士ということもあって、何かと意見を求められたり聞かれたりすることが多くありました。先生は30代前半くらいの若い台湾人女性で、非常に熱心であり、一応、私も含めて学生も先生も年齢が近いということで、教室内はいつも和気あいあいとした雰囲気でした。

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    語学棟(語文中心中國語文組のウェブサイトより)        教室内(同左)

    授業はテキストをベースにした会話練習が中心です。単にテキストを読み進めるだけでなく、新出単語を用いて会話をしたり、テキストの内容を踏まえて自分の考えを発表したりすることで応用練習を積んでいきます。毎日作文の宿題があり、さらに週に1回、学生が自作したパワーポイントを用いてプレゼンテーションを行います。私は、最初の1、2ヶ月間は、授業の予習、復習、宿題、プレゼンテーションの準備(情報収集、パワーポイントでの資料作成、口頭での発表練習)だけで毎日が精一杯という状況で、特にプレゼンテーションには毎回膨大な時間がかかっており、授業が始まった当初は本当に泣きそうになりながら準備を進めていました。

    皆、授業が終わると一緒に食事をしたり、夜になると飲みに行ったりして、それが留学生活の一番の楽しみでもあります。しかし、私は台湾でも弁護士業務を継続していましたので、授業が終わったらクラスメイトと別れてPCでメールをチェックし、必要があれば関係先と電話でやりとりをするなどして、その日の仕事をまとめて処理していました。その後、図書館で授業の予習・復習を行い、夕方には帰宅して自宅で夕食をとり、子どもを寝かせてから再び残った勉強に取り組むという感じでした。日本にいたころよりも一層タイトな生活を送っており、残念ながら他の学生と一緒に遊びに行く余裕はほとんどありませんでした。

    また、多くの留学生は、台湾人の大学生と言語交換(自分が学んでいる外国語をその国から来た留学生に教えてもらい、その代わりに自分がその留学生に中国語を教えてあげるという学習方法)をして、積極的に会話の機会を増やしていましたが、私は、自分が相手に日本語を教える時間がもったいなかったので、言語交換の代わりに、時折、台湾大学の法学部の学生に昼食をおごり、食事をしながら中国語で法律や政治のことについて話してもらうということをしていました。

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    先生及びクラスメイトとの食事

    このように私は留学生活ならではの楽しみを満喫する余裕はなく、かえって常に焦燥感に駆られて一日一日を無駄にしないように意識して過ごしていました。毎晩寝るときには、なんとか一日を乗り切ったと疲労感混じりに安堵をしつつ、明日もまた同じように一日を乗り切れるよう自分を鼓舞していました。

    そうして半年も勉強を続けていると、中国語でのコミュニケーションに対する抵抗感は無くなり、中国語で考えて中国語で話すという感覚が少しずつ身に付いてきました。授業の予習復習の時間も短縮できるようになり、むしろ大学の授業だけだと1対1の会話練習が不足すると感じるようになり、週に1,2回は自宅近くの個別レッスンの中国語教室に通うようになりました。そこで、私は次のステップとして、中国語を使って仕事をするということに挑戦しました。(続く)

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